現実と数学の区別が付かない

数学ネタのブログです

Grothendieck local duality

Grothendieck local duality

 (A,\mathfrak{m},k) を完備  d 次元 Cohen-Macaulay 局所環とする。また  E:=E_A(k) を剰余体  k の入射包とする。 A の双対化加群を  \omega_A:=\operatorname{Hom}_A(H^d_{\mathfrak{m}}(A),E) によって定義する。このとき,任意の有限生成  A-加群  M と任意の整数  i に対して \begin{align*}\operatorname{Hom}_A(H^i_{\mathfrak{m}}(M),E_A(k))\simeq\operatorname{Ext}^{d-i}_A(M,\omega_A)\end{align*} が自然同型として成り立つ。

以下,この同型を証明する。

補題

 N を平坦  A-加群,  J を入射  A-加群とする。このとき  \operatorname{Hom}_A(N,J) は入射  A-加群である。

証明

任意の  A-加群  M に対して,Tensor-Hom adjunction により \begin{align*}\operatorname{Hom}_A(M\otimes_A N,J)\simeq\operatorname{Hom}_A(M,\operatorname{Hom}_A(N,J))\end{align*}が成り立つ。 N は平坦なので,関手  \cdot\otimes_A N は完全である。また  J は入射なので,関手  \operatorname{Hom}_A(\cdot,J) は完全である。したがって  M\longmapsto\operatorname{Hom}_A(M\otimes_A N,J) は完全関手である。上の随伴同型により,これは  M\longmapsto\operatorname{Hom}_A(M,\operatorname{Hom}_A(N,J)) と同型な関手である。よって  \operatorname{Hom}_A(N,J) は入射加群である。∎

Čech複体

 \boldsymbol{x}=x_1,\dots,x_d \mathfrak{m} のパラメータ系とする。すなわち  (\boldsymbol{x})=(x_1,\dots,x_d) \mathfrak{m}-primary なイデアルである。このパラメータ系に付随する Čech 複体(stable Koszul 複体ともいう)  \check C^\bullet(\boldsymbol{x};A) を \begin{align*} 0\to A\to\bigoplus_i A_{x_i}\to\bigoplus_{i{<}j} A_{x_i x_j}\to\cdots\to A_{x_1\cdots x_d}\to 0\end{align*} によって定義する。

ここで  A を次数  0 に置き, \bigoplus_i A_{x_i} を次数  1 に置く。微分は通常の Čech 複体の交代和で定める。各項  A_{x_{i_1}\cdots x_{i_r}} A の局所化であるから平坦  A-加群である。したがって  \check C^\bullet(\boldsymbol{x};A) は平坦  A-加群からなる複体である。

任意の  A-加群  M に対して  \check C^\bullet(\boldsymbol{x};M)=M\otimes_A\check C^\bullet(\boldsymbol{x};A) である。また  (\boldsymbol{x}) \mathfrak{m}-primary なので,この Čech 複体は  \mathfrak{m} に関する局所コホモロジーを計算する。すなわち  H^i(M\otimes_A\check C^\bullet(\boldsymbol{x};A))\simeq H^i_{\mathfrak{m}}(M) である。特に  M=A とすると  H^i(\check C^\bullet(\boldsymbol{x};A))\simeq H^i_{\mathfrak{m}}(A) である。

 A は Cohen-Macaulay なので, H^i_{\mathfrak{m}}(A)=0\quad(i\neq d) である。したがって  \check C^\bullet(\boldsymbol{x};A) は,平坦  A-加群からなる複体として, H^d_{\mathfrak{m}}(A)\lbrack -d\rbrack の平坦分解を与える。

双対化して入射分解を得る

次に  I^\bullet:=\operatorname{Hom}_A(\check C^\bullet(\boldsymbol{x};A),E) とおく。ただし  I^{-i}:=\operatorname{Hom}_A(\check C^i(\boldsymbol{x};A),E) として,次数を反転して考える。 \check C^\bullet(\boldsymbol{x};A) の各項は平坦  A-加群であり, E は入射  A-加群である。したがって先の補題より, I^\bullet の各項は入射  A-加群である。

また, \check C^\bullet(\boldsymbol{x};A) H^d_{\mathfrak{m}}(A)\lbrack -d\rbrack の平坦分解を与えるので,これを  E で双対化すると, I^\bullet \operatorname{Hom}_A(H^d_{\mathfrak{m}}(A)\lbrack -d\rbrack,E) の入射分解になる。シフトに注意すると  \operatorname{Hom}_A(H^d_{\mathfrak{m}}(A)\lbrack -d\rbrack,E)\simeq\operatorname{Hom}_A(H^d_{\mathfrak{m}}(A),E)\lbrack d\rbrack である。双対化加群の定義より  \operatorname{Hom}_A(H^d_{\mathfrak{m}}(A),E)=\omega_A であるから, I^\bullet \omega_A\lbrack d\rbrack の入射分解を与える。

 J^q:=I^{q-d} とおくと, J^\bullet は通常の意味での  \omega_A の入射分解である。

局所双対性の証明

 M を有限生成  A-加群とする。Čech 複体による局所コホモロジーの計算から  H^i_{\mathfrak{m}}(M)\simeq H^i(M\otimes_A\check C^\bullet(\boldsymbol{x};A)) である。

 E は入射加群なので,関手  \operatorname{Hom}_A(\cdot,E) は完全である。
したがって複体  M\otimes_A\check C^\bullet(\boldsymbol{x};A) \operatorname{Hom}_A(\cdot,E) を適用すると,\begin{align*}\operatorname{Hom}_A(H^i_{\mathfrak{m}}(M),E)\simeq H^{-i}\operatorname{Hom}_A(M\otimes_A\check C^\bullet(\boldsymbol{x};A),E)\end{align*} を得る。
さらに Tensor-Hom adjunction により \begin{align*}\operatorname{Hom}_A(M\otimes_A\check C^\bullet(\boldsymbol{x};A),E)\simeq\operatorname{Hom}_A(M,\operatorname{Hom}_A(\check C^\bullet(\boldsymbol{x};A),E))\end{align*}である。 I^\bullet=\operatorname{Hom}_A(\check C^\bullet(\boldsymbol{x};A),E) とおいたので,\begin{align*}\operatorname{Hom}_A(H^i_{\mathfrak{m}}(M),E)\simeq H^{-i}\operatorname{Hom}_A(M,I^\bullet)\end{align*}となる。

いま  J^q:=I^{q-d} とおくと, J^\bullet \omega_A の入射分解である。したがって Ext 群の定義より  \operatorname{Ext}^{d-i}_A(M,\omega_A)=H^{d-i}\operatorname{Hom}_A(M,J^\bullet) である。一方で  J^q=I^{q-d} だから,複体  \operatorname{Hom}_A(M,J^\bullet) の次数  d-i の部分は,複体  \operatorname{Hom}_A(M,I^\bullet) の次数  -i の部分に対応する。よって  H^{d-i}\operatorname{Hom}_A(M,J^\bullet)=H^{-i}\operatorname{Hom}_A(M,I^\bullet) である。

以上より  \operatorname{Hom}_A(H^i_{\mathfrak{m}}(M),E_A(k))\simeq\operatorname{Ext}^{d-i}_A(M,\omega_A) である。

逆2乗則は必然

万有引力の法則やクーロンの法則に代表されるように,物理量の大きさがその発生源からの距離の逆二乗に比例する現象は広く知られている.
ja.wikipedia.org
発生源が粒子(点)である保存力場 F(ポテンシャルを持つベクトル場)が逆2乗則を満たすことが必然であることを示す.\begin{align*}{\bf r}:=(x,y,z),\quad r:=|{\bf r}|=\sqrt{x^2+y^2+z^2}\end{align*}とすると,F が逆2乗則を満たすというのは,ある定数 k により\begin{align*}F=\dfrac{k}{r^3}{\bf r} \end{align*}と書るときで,|F|=\dfrac{|k|}{r^2} なので「逆二乗」則である.

原点 O にある粒子が作る保存力場 F のポテンシャルは方向に依存しないはずので,r の関数として -g(r) と書ける.また,粒子が存在しない空間領域では発生源がないため,発散 {\rm div}~F はゼロであると仮定するのが自然である.これは「場の源が存在しない領域では流れの湧き出しも吸い込みもない」という物理的要請に対応している.\begin{align*}F={\rm grad}~g,\quad {\rm div}~F=0\quad(r\neq 0)\end{align*}となる g(r) を求める.
\begin{align*}F&= {\rm grad}~g(r)=\dfrac{g'(r)}{r}{\bf r}\\
{\rm div}~F&=\dfrac{g''(r)r-g'(r)}{r^2}\cdot\dfrac{x^2+y^2+z^2}{r}+3\dfrac{g'(r)}{r}\\
&=\dfrac{g''(r)r+2g'(r)}{r}=0\end{align*}であるので,微分方程式\begin{align*}g''(r)r+2g'(r)=0\end{align*}を解けばよい.\begin{align*}
\dfrac{g''}{g'} &=-\dfrac{2}{r}\\
(\log |g'|)'&=-\dfrac{2}{r}\\
\log~ |g'|&=-2\log~r+C\quad (C:\mbox{定数})\\
g'&=\pm e^C \dfrac{1}{r^2}=\dfrac{k}{r^2}\quad(k=\pm e^C)
\end{align*}よって\begin{align*}
F=\dfrac{g'(r)}{r}{\bf r}=\dfrac{k}{r^3}{\bf r}
\end{align*}となり,逆2乗則が導かれた.計算過程を見ると,逆2乗則である理由は空間が3次元であるからなのも分かる.

ポテンシャル -g(r)g'=\dfrac{k}{r^2} を解いて\begin{align*}-g(r)=\dfrac{k}{r}+B\quad (B:\mbox{定数})\end{align*}となる.

エゴリキャ暦(俺の考えた最強の暦)

この↓記事を読んで、1年(太陽年)は正確には365.24219日であることを知りました。
karapaia.com
これをきっかけに新しい暦を考えたので、次の世界皇帝になる予定の人は読んでみてください。

うるう年のしくみ

365日は365.24219日に0.24219日足りません。そこで4年に1度1日を追加すると、1年は平均 1/4=0.25日延びることになります。しかしこれでは1年が平均365.25日になり、365.24219日を0.00781日超えてしまいます。

そこで 0.00781 の逆数 1/0.00781=128.04… を超えない切りのいい4の倍数である 100 を利用して「ただし、100で割り切れる年は平年(うるう年キャンセル)」というルールを追加すると、1年の平均が 1/100日短くなり、1年は平均
365+1/4-1/100=365.24[日]になります。

今度は 365.24219日に0.00219日足りなくなりました。そこで1/0.00219=456.62… を超えない100の倍数である 400 を利用して「ただし、400で割り切れる年はうるう年(うるう年復活)」というルールを追加すると、1年の平均が 1/400日長くなり、1年は平均 365+1/4-1/100+1/400=365.2425[日]になります。

ここまでのルールがグレゴリオ暦です。365.24219日にかなり近いですが、まだちょっとずれていますよね。せっかくだからもうちょっとやってみましょう。

追加ルール

365.2425日は365.24219日を0.00031日超えています。そこで1/0.00031=3225.8… を超えない400の倍数3200を利用して「ただし、3200で割り切れる年は平年(うるう年再キャンセル)」をいうルールを追加すると、1年が平均1/3200日短くなり、1年は平均 365+1/4-1/100+1/400-1/3200=365.2421875[日]になります。

365.2421875日は365.24219日より0.0000025日短く、この0.0000025の逆数はピッタリ400000 になります。しかも400000=3200×125 で、3200の倍数でもあります。なにこの奇跡。

よって、うるう年のルールを

  • 4で割り切れる年はうるう年
  • ただし100で割り切れる年は平年
  • ただし400で割り切れる年はうるう年
  • ただし3200で割り切れる年は平年
  • ただし400000で割り切れる年はうるう年

とすると、1年は平均でピッタリ真の値である365.24219日になります(40万年間の平均)。

なかなか美しい結果ですので、このルールの暦をエゴリキャ暦(私のid:egory_catから)と名付けることにしましょう。新ルールの適用が必要になるまであと1175年あるので、気長に浸透させていけばいいでしょう。40万年後に1年の長さが変わっていたらゴメンなさい。

追記

調べてみたらより正確には太陽年は365.242189日らしいです。エゴリキャ暦の1年の平均日数365.24219日は真の値より0.000001日(=0.0864秒)長いことになります。そうなると「ただし1000000で割り切れる年は平年」というルールを加えたくなりますが、残念なことに 1000000 は 400000 の倍数にはなっていません。あと太陽年もほんのわずかずつながら短くなっているんですって。