現実と数学の区別が付かない

数学ネタのブログです

2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

Grauert-Remmert の定理(整閉整域の判定法)

与作が木を切っても切らなくても今回は整閉包のお話です.ネター整域が整閉整域であるかを判定する Grauert-Remmert の定理というものがあり,これは整閉包を計算する上でも主要な働きをする面白い定理なのですが,証明が載っている教科書をあまり見かけませ…

987654321/123456789 がほぼ 8

計算機で計算してみると となり,整数部分が で,小数第1位から が 個連続しているので「ほぼ 」ですが,よく見ると が連続している部分がその後にも出てきます.しかも連続する の長さも と ずつ短くなっています.\begin{align} \cfrac{987654321}{1234567…

偶数次元の向き付け可能連結閉多様体の偶数次コホモロジー環は Gorenstein 環

タイトルが長い. を「偶数次元」で「向き付け可能」で「連結」な閉多様体(=コンパクトで境界のない多様体)とする. とおくと, の 係数の偶数次コホモロジー環 \begin{align} H^{ev}(X;\mathbb{Q}):= \bigoplus_{k=0}^{d} H^{2k}(X;\mathbb{Q}) \end{alig…

ニュートン法の2次収束性とヘンゼルの補題

可換環論でのニュートン法が「2次収束」することの証明をちゃんと書いておく.可換環 の可逆元全体を で表す.可換環とそのイデアル に対し の剰余環 での像を と書く. に対し ならば . 証明. とすると, である. とおくと,\begin{align}(x+I^n)(z+I^n)…

周期関数の1周期積分の区分求積法

高橋-森理論など,複素解析を用いて数値積分誤差を行う話があります.今回は比較的わかりやすい例として,周期関数の1周期積分の区分求積法は区間の分割数を増やすにしたがって非常に早く(指数オーダーで)収束することを紹介します. 周期関数の1周期積分 …