計算機で計算してみると
となり,整数部分が で,小数第1位から が 個連続しているので「ほぼ 」ですが,よく見ると が連続している部分がその後にも出てきます.しかも連続する の長さも と ずつ短くなっています.\begin{align}
\cfrac{987654321}{123456789}=8+7.29\times 10^{-8}+6.6339\times 10^{-16}+6.036849\times 10^{-24}+\cdots
\end{align}のように解釈すると,何か理由がありそうに見えます.今回はその理由を考えてみましょう.
進数の場合に一般化して を で割ったものを考えます. を変数として,等比級数の和 \begin{align}
\sum_{k=1}^{n-1} x^k =\cfrac{1-x^n}{1-x}-1 \end{align}の両辺を で微分すると
となります.これらに を代入することで
が得られます.以上より
となります. なので, が十分大きいときこの値は「ほぼ 」になります.
より なので,
のときは なので \begin{align}
\cfrac{987654321}{123456789}=&(8+0.01\times 10^{-8})\sum_{k=0}^\infty (0.91\times 10^{-8})^k \\
=&8+(8\times 0.91+0.01)10^{-8}+(8\times 0.91^2+0.01\times 0.91)10^{-16} \\&+(8\times 0.91^3+0.01\times 0.91^2)10^{-24}+\cdots
\end{align}となり,小数部分の最初の方に が連続したものが現れる理由が分かりました.\begin{align}8 &\xrightarrow{0.91 \mbox{倍して} +0.01~~~~~~}8\times 0.91+0.01\xrightarrow{0.91\mbox{倍}} 8\times 0.91^2+0.01\times 0.91 \\
&\xrightarrow{0.91 \mbox{倍}}8\times 0.91^3+0.01\times 0.91^2
\end{align}であり, 倍すると桁の長さが だけ長くなるので,連続する の長さが ずつ短くなっています ( に が現れないのは偶々).